借金を完済した場合、当該借金を担保するために設定された担保権設定登記は、通常であれば、抹消されることとなります。住宅ローンの場合はそのようにされる方が大多数ではないでしょうか。
ところが、知人や会社からの借入等のために担保権の設定登記をして完済した際、抹消手続が面倒になってしまったり、債権者からまた借入をすることがあるから残しておいた方がよいなどと言われたりして(実際はご相談者が気付くまで借入なし)、実態のない担保権設定登記が残存することにしばし遭遇しています。
そのため、本来抹消されるべき担保権(抵当権・根抵当権・質権・買戻特約等)の設定登記がそのまま長期間放置され、いざ、相続や売却見込みが立った際に、当該土地建物に設定されたままであることは、経験上ままあることです。
このような場合、借金や支払義務が存在するのではないかと相続することをためらったり、当該担保権を実行された場合にせっかく購入した土地建物の所有権を失うおそれがあるために売買が破談になったりするおそれが生じます。
したがって、このような実態のない担保権設定登記をそのまま残しておくことは、将来の相続手続の選択ミスや売却の時期を逸してしまう等不利益を招きかねず、気付いた際に抹消することが重要です。
一定期間が経過することで、担保権を設定した債権者法人(会社)が廃業したり倒産したりして会社が消滅していたり、債権者が個人の場合には当該債権者の死亡による相続が発生したりして、担保権抹消の話を誰にしてよいかわからず、結果として、当該担保権の抹消が困難な状況を招くおそれがあります。
そのため、実態のない担保権設定登記は、実態がなくなったときに忘れずに抹消手続をとることが肝要です。
実体のない担保権設定登記が残存している場合は、当事務所にご相談願います。